• 堀江真美のアルバム「AGAIN」への期待   瀬川昌久 

  • タイトルの「AGAIN」には2つの意味がありそうだ。
  • 真美の唄やピアノは始終聴いて楽しんでいるが、 本格的ジャズのレコーディングは久しぶりだ、という意味での「アゲイン」。
  • もう1つは副題にある「トリビュート トゥ ナンシー梅木」の表示する真美のナンシーの ボーカルへの敬幕の念。ナンシーといえば、彼女の
  • 衝撃的なデビュー曲が「AGAIN」だった。 終戦後、ドリス・デイの
  • 「AGAIN」と「It's Magic」をカップリングしたSPレコードが大ヒット した時、突如ラヂオから流れたナンシーの歌うハスキー声の「AGAIN」はナンシーの代名詞のような 曲になった。 真美がどんな経緯でナンシーのボーカルに惹かれて、ナンシーゆかりの曲を歌う気になったのかはまだ本人から 聞いていない。とにかく真美ほど多彩なボーカルの才能に恵まれ、そのどれをとってもズバ抜けた上手さを 発揮するボーカリストはおそらく他にいないだろう。 バラードからアップテンポまで、スイートに、ハスキーに、リズミックに、ストレートに、 自由奔放に、何でも歌える。この真美が「能ある鷹は爪を隠す」のたとえ通り、 今回はそのほんの一端を披露したに過ぎない。 ナンシーを想起させる曲は「AGAIN」の他、オープニングの「If I Give My Heart To You」
  • (これもドリス・デイでヒットした)「My Baby's Coming Home」
  • 「Vaya Con Dios」 「Sleepy My Love」などがある。伴奏バンドが
  • ヴィブラフォンやフルート、サックスのコンボで、 かつてのナンシーのいたゲイ・セプティットのようなソフトでモダンなサウンドを出しているのも 嬉しい。
  • この第1弾が第2弾、第3弾と続く架け橋にならんことを切に願う。